こもろぐ @tenkoma

What We Find Changes Who We Become -- Peter Morville著『アンビエント・ファインダビリティ 』

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レボリューション・イン・ザ・バレー―開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏,読了.

レボリューション・イン・ザ・バレー ―開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏

レボリューション・イン・ザ・バレー ―開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏

この本には僕の知らないオリジナル(最初の)Macについて沢山の事が書いてある.しかしMacというコンピュータについての本ではない.最初のMacを創った人々の開発エピソード集だ.
初代 Mac が発売されたのは20年以上前の事である.話の舞台も1979年〜1985年なのだが,年と月が1話ごとに明記されているのに,その年にそんなことを?という感じで全く僕の時代感覚と合わない.…つまり新鮮な気持ちで物語を読めたということ.*1
Steve Jobsについてはその異常者っぷりが登場するごとに描かれている.彼は"現実歪曲空間"をもって,他人に何でも受け入れさせてしまう,というのがその代表例(p.24).しかし,そのことをネガティブにだけ記述してはいない.また著者は本の内容を公開するWebサイト*2の内容を先にSteveに見せているという.
Webサイト Folklore.org: The Original Macintoshと,この本は,初代Mac誕生の話を人々に,特に後生の人々に伝えるために書かれている.それはWebサイトの名前(folklore:民間(民族)伝承)からも明らかだ.
この本はアラン・ケイのセミナー in 1982 - Engineer as a Lifestyle @tenkomaのコメントでも書いたが,中盤の始め頃で技術的な話が出てくる部分がある.すぐにイメージできない技術用語がドバドバでてきて*3,正直ここはキツい.しかしそこをすぎると,MacGUIが日々改良されていった様子や,Microsoftがでてきたりして,徐々に引き込まれていく.
開発者の多くは当時20〜30代であるが,その多くは既にAppleを辞めているらしい.著者やその最高の友達 Burrell Smith がAppleを辞めたときの話も書かれている.
初代 Mac が開発されたときの,開発者の様子,誰が何をしたか,喜び,楽しみ,怒り,悲しみ,著者の後悔などについて克明に書かれている.Macについて知らないからといって読むのを遠慮することはないだろう.

ちょっと肩の力を抜いて

*1:それって当たり前のこと?

*2:…じゃなくて,Webサイトとして公開した何ヶ月か後の2004年12月に原著が出版されたわけだが

*3:日本語版では数個技術的な話がそのままのっているらしい