こもろぐ @tenkoma

What We Find Changes Who We Become -- Peter Morville著『アンビエント・ファインダビリティ 』

広告:本ブログで紹介している書籍等商品の紹介でAmazonアソシエイトを利用していることがあります。

数学;人類が作った美しきアーティファクト

虚数の情緒―中学生からの全方位独学法
虚数の情緒―中学生からの全方位独学法」を400ページほど読み終わる.いままでに出てきた内容は数,証明法,代数・幾何・整数論の基礎などであるが,まったく内容に飽きがこない.また数学そのものだけでなく*1さまざまな格言や歴史,人物についてふれられていて,頭の中ですんなり理解できるように作られていると思う.いくつか印象に残るフレーズを紹介.

p.135

素読と聞いて思い出す"西の雄"は,トロヤ遺跡を発掘したあのシュリーマンである.彼は,語学に堪能であり,十数カ国語を読み書き話した.その学習方法は,以下の如きものであった.

非常に多く音読すること,決して翻訳しないこと,毎日一時間あてること,常に興味ある対象について作文を書くこと,これを教師の指導に依って訂正すること,毎日直されたものを暗記して,次の時間に暗誦することである.

としている.……

p.210

「特殊」と「一般」,この往復こそが数学の醍醐味である.
…中略…
即ち,数学は「特殊」に始まり「一般」に終わる.「特殊」が無ければ「一般」は無い.
…中略…
若年の諸君は,特殊に徹せよ.先ず,具体例を発見せよ.

p.376

…コンピュータは,我々の想像力を後押ししたり,それを目に見える形にする為にだけ意味があるので,コンピュータに想像力を育てて貰おう,などという考えは,正に本末転倒の絵空事である.
若し,「彼ら」に本当にそんな能力があるのなら,逸早く自分自身を教育し,不眠不休の大想像力を駆使して,とうの昔に我々を凌駕した恐るべき存在に成長しているだろう.…

この本は数学を一直線に学ぶための本ではない.だから一見数学に関係の無いようなことも話の流れの中ででてくる.しかし元来,数学,理科,英語などという区別は,単に分類したほうが都合がいいだけで,すべての学問は密接に関わり合っているはずである.
数学といえば中学高校では嫌いな教科の代名詞*2である.しかし本質にせまる言い方をすれば,"数学"は人間が何かを"考える"ときの"考え方"そのもの(の一部)であると,僕は考える.そして人類がわずか*3数千〜数万年*4をかけて作った人工物の結晶でもある.数学の教科書を見たりすると内容はなにか無機質な感じがするが,その醸成には何世代もの沢山の人が関わっており,その人達の業の成果である.また数学は全世界共通の「言語」でもある.
(高等な)数学は社会に出たらその道以外の人の役には立たないなどといわれるが,おそらくは数学の「抽象度」の高さ故にそういった想いを抱かせるのかもしれない.しかし抽象度が高いと言うことは,ひとたび身につければ様々な応用が利くということでもある.いかにして「利用」するかは身につけた人次第.
この本で数学に対する見方を変えれば人生は変わる!(とか無責任なことを言ってみるテスト)

*1:まぁ数学を数学だけで学ぶなんて事はできないと思うけど

*2:いやホントかどうかは不明…

*3:あえてわずかと言いたい

*4:本当は数百万年とかかも^^;