抽象論−選挙
選挙は国民が政治に参加できる唯一の機会だ,などと言われることがある.だから選挙に行くべきであるといった,論調の時によく使われる理由として.
しかし,その理由に対しては意義を唱えたい.
選挙に行っても,それ以外の時は力を持たない人もいるし,選挙に行かなくても政治的な力を持つ人というのもいると思う.*1
では選挙とは何か?政治とはなにか?
- 選挙
- (1)多人数の中から投票などにより適任者を選び出すこと.(2)(3)省略[広辞苑第五版より]
選挙とは人を任命するときの手法のことである.極端な話,選挙以外にも人を選ぶ方法はある.小中学校のクラスの班長を選ぶときくらいなら,班員の話し合いで選ぶことができる.しかしこの選び方は人が多くなるに連れて指数関数的に手間がかかるようになる.
- 政治
- (1)まつりごと.(2)(politics; government) 人間集団における秩序の形成と解体をめぐって,人が他者に対して,また他者と共に行う営み.権力・政策・支配・自治にかかわる現象.主として国家の統治作用を指すが,それ以外の社会集団および集団間にもこの概念は適用できる.[広辞苑第五版より]
政治とは個が集まった集団の秩序に関する営み,または現象である.つまり人が集団を形成するとき,意識・無意識に関わらず,政治的現象が発現すると考える事が出来る.政治というコトバは国家レベルの政治の専売特許ではない.しかしここでは政治というとき,政府,国会,外交などにおける政治ということにする.
被選挙権(選挙されうる権利)を行使しない大多数の国民にとって,選挙しか国政に参加する機会はないのか?そんなことはない.個人が政治的思想・意見・政策について発現し*2,それに影響を受ける人がいれば,それは立派な政治的な力である.
国政における選挙とはなんだろう.仮に投票率が100%だったとすれば,多数派が望む候補者が代理人として選ばれたということになるが,投票率が低くなるにつれて,「選ばれた人は『本当の多数派』の意見を代弁する人じゃないかもしれません」という可能性が高まるということだと思う.
民主主義は「極論」すれば多数派の意見が通る事になる.投票しないということは『本当の多数派』を決める権利を放棄するということではないだろうか.
自分の1票で結果が左右されるわけじゃない,と言う人もいるか?…その通り.しかし1票で大勢がひっくりかえるならそれは投票 -> 選挙ではない.
しかしこれは本当に極論.多数派の代理人が,多数派の意見を代弁するとは限らない.最大公約数的代理人と比喩できると思う.